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5/08/2015

牛1000頭の牧場 3/26 Abbeville

Mille vaches(直訳:1000頭の牛)
数年前、Some県にMille vachesと呼ばれるフランスで最も大きな牧場ができた。1000頭の牛(正確に言うと1000頭のVache。フランス語のVacheは種付け後のメス牛のこと。1000頭のVacheと他に子牛、雄牛も計画にはあった)を飼うと言う計画に対し、周辺住民は反対、テレビや新聞でも報道され、全国的に反対運動が広がった。現在、既に運営を開始しているが、未だに多くの国民が反対している。
聞き込み調査中に出会った人のレストラン。
なんと、1日泊めてくれた!味も相当良い!
メニューにないけど、白いソーセージが超美味!!

反対意見

私は20149月からフランスでWWOOFをしていた。多くのWWOOFホストがこの牧場の話をしていた。「こんな酷い農業をやっている」と。
余りに皆が言うので、こりゃ行ってみるしかないと思い、Mille VachesのあるAvebbilleと言う町に行くことにした。

行きのヒッチハイク中、そして、町についてからはバーで情報収集。
やっぱり皆、反対と言う。
反対の理由は主に
・臭い
・水質汚染
・牛が閉じ込められていて可愛そう

過去の記事をネットで探して読んだが、だいたい同じようなことが書いてある。


牧場見学

実際にMille Vachesを訪問してみた。アポ無しにも関わらず、中へ入れてくれた。時間は余りなかったらしく、用意していた質問を全ては聞けなかったけど、少し話もしてくれた。大規模酪農はウイルスとか細菌とかの関係で入るのは難しいと思っていたけど、周りが敵だらけだから、ポープンにするように心がけているのかな?

搾乳機

列毎に餌が違う。
牛舎内では縛られてなくて結構自由。
外に出さないと言うのは本当なのか?雨だったからこの日は全牛が牛舎内にいた。

窓の作りは結構簡単??







餌?
牧場内は思っていた程くさくない。アンモニア臭は殆どなく、ほんのり乳酸っぽい香り。多分サイロの臭いだろう。牛の足元は自動で掃除されるようになっていて、相当綺麗。今までこんなに綺麗な牧場見たことがない。集められた糞や汚水も国の規定に従い処理している。
1000頭の牛を飼える設備があるが、現在は500頭を飼育している。その為か、牛舎内は結構広く見えた。牛ごとの給餌器はなく、ラインごとに餌が分けられていた。牛が放牧されることがないって言うのは本当なのだろうか?この日は雨だったので分からなかった。


国民の認識、イメージと実際

周囲は拾い麦畑だと思う。奥に見えるのが牛舎と事務所
多くの人が、環境汚染を気にしているが、大規模な経営には国が定めるそれなりの基準がある。少なくとも、汚染度がそれを上回ることはないだろう(もし上回っていたら、反対とか賛成とかの問題ではない)。

臭いも殆どなかった。また、現在多数派であろう、200~300頭の大規模酪農を数箇所作るより、5001000頭と言った規模の牧場を作った方が総合的にエコだと思う。規模が大きな方が、浄化設備にお金も気も使うことができる。さらに、数箇所の牧場から牛乳を集めるより、一箇所からまとめて運んだ方が輸送のための燃料も掛からない。こういった観点から、私の印象だが、中途半端な規模より、大規模な経営が効率的で環境にもいいと思う。


誰もがMille Vachesを嫌っている。それなのに、ここの経営は成り立っている。

なぜだ?

勿論、みんながここの牛乳を買うからだ。フランスの大量生産品の牛乳は日本同様、数箇所のものが混合され、パック詰めされるため、何処のものか分からない。フランス人はMille Vachesに反対している一方で、その安価な牛乳の恩恵を受けているのだ。(なんか、日本みたいだな)
一般的な牛乳はこうやって集めて、数箇所のものが混ぜられてパック詰めされている。


本当の問題点と今後

私はMille Vachesが悪いとは思えない。
少量生産で伝統を守り、質の良い物を作る。それは大切なことだ。しかし、ある程度の質の物を、安定して効率的に作る、と言う技術も必要だ。その両方があって良いと思う。重要なのはそれを消費者が理解している事だ。
Mille Vachesに反対するのならその牛乳を買わなければ良い。伝統を守りたいなら、そういった商品を買えば良い。日本もフランスも、環境にやさしく、質の良い物を作って欲しいと口では言っているものの、それを消費行動に表す人は少ない。時事問題に関する知識を食卓に繁栄できていない。これが最大の問題だと思う。

フランスでは無加熱の牛乳が販売されている。小さな農家がチーズを作ることもできる。正確な法律を知らないが、日本よりは乳製品についての衛生上の規制が厳しくない。日本では、拘りのある酪農家がオリジナルの牛乳を販売するといったことは難しいが、フランスではそれが可能だ。消費者はこういった牛乳を選択できるのだ。フランスに、牛が数十頭~数頭しかいないような小規模酪農が存在するのは、こういった理由からだろう。

大規模な酪農ばかりが占有するのではなく、消費者が正しく知識を持ち、選択をする事で、大規模酪農、小規模酪農が上手く住み分けられる社会が来ることを願っている。また、日本もそうなる必要があるのだろう。